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なぜ教職員「評価」制度の導入か
 なぜ教職員「評価」制度を導入しようとしているのか──政治・社会の状況

 1 小さな政府と公務員制度「改革」
 資本主義の国際的な経済競争のための新しい国家管理が世界的な傾向となっています。日本でも規制緩和をすすめて国家をスリム(小さな政府)化し、成果主義を社会全体に行き渡らせ、市場メカニズムを効かせようという動きがあります。それによって国家が支えてきた医療・教育などの福祉分野への圧迫・切り捨てが進んでいます。さらに政府は省庁や公務員に対する行政評価制度を導入し、その評価結果で次年度の財政誘導をはかって統制しようとしています。教職員をめぐる評価制度はこのような公務員制度「改革」と連動し、行政全体を構造「改革」しようとしている動きの一環として考えられます。
 
 2 教職員「評価」制度の正体──大掛かりで公然とした「勤務評定」
 これまで教職員に対しては管理職による「勤務評定」が行われてきました。これは「評価」ではなく「評定」です。今までは実質的に給与との連動はありませんでしたが、秘密裡の人事管理資料にされてきたと推測されます。
 現在、全国で行われている教職員「評価」(やその試行)も、基本的には評価ではなく、この評定(ランクづけ)を新たに大規模かつ公然と展開したものと位置づけられます。なぜなら、目先の成果しか追わない年度ごとの教職員の「(勤務)評定」あるいは「査定」は可能ではあっても、結果がなかなか表面に出ない、教職員の連携と共同により長い時間をかけてはじめて可能となる教職員個々の「教育活動全体」に対する評価などはきわめて困難だからです。
 もしもこの制度をきちんと評価制度として位置づけようというのなら、評価によって教職員の教育実践能力が向上し、学校全体の教育力が高まり、それによって生徒集団が育っていくという「評価論」をきちんと展開すべきでしょう。このような「論」ぬきに、教育行政当局が「教職員の資質・能力の向上」と「学校の活性化」とを目的として掲げているのはたんなる「お題目」であり、実質的には教職員の人事管理および統制と人件費抑制とをはかろうとしているにすぎません。

 3 政界・財界のねらい
 政界・財界では従来の勤務評定を改めた教職員「評価」制度を学校評価と連動させようと考えています。つまり(国際的な競争に勝つ)数%のエリートを育てるための学力競争に特化した新しい学校間競争と学校ランク付けに、教員評価を連動させようとしているのです。
 そのために、学区制を廃止し、一斉学力テストを強行し、学校評価結果をふまえた学校選択を可能にさせ、学校評価で学校をランクづけし、学校間で競争をさせ、その学校間の学力競争の中で教職員評価を行い、その評価に基づいて教職員の処遇を行おうとしています。これが教職員「評価」制度の本質です。
 すでに学校選択制度が学校の「格差」化を広げ、2006年に品川区のある地区では入学者ゼロの中学が出現しました。こうして大幅な学校統廃合が生まれてきたのです。
 さらに、このような市場メカニズムへと国民を動員していこうという動きと同時に、偏狭なナショナリズムを育成し「戦争のできる国」づくりをめざしているという側面を記しておく必要があると思います。

 4 戦後まもないころの文部省
 1951年の『学校評価の基準と手引き』(文部省)によれば、「学校評価は学校が自ら外部の援助を得て自己を改善するための活動」であり、「学校の成績を点数や標語で表現することにより学校の格付けをおこない、また校長や教師の勤務成績を評定して監督上の資料とするものではない」とされていました。さらに「学校の自己評価は学校の全職員が参加して行わなければならない。・・・父兄や生徒の代表を適当な部分に参加させることは学校評価をいっそう意義あらしめるべき結果を導くかもしれない」とも記されていることは画期的です。現在の教職員「評価」制度はこの当時の文部省のあり方とは真っ向から反するものとなっています。

 5 成果主義・評価制度の導入は何をもたらしたか──社会構造の変化と自殺者の増大
 日本のIT界を牽引してきた富士通が「成果主義」の導入に踏み切ったのは、1993年です。以来、この制度を導入する企業はどんどん増え、いまでは、日本企業のほぼ7割がなんらかの形でこの制度を導入しています。しかし、この「成果主義」が、結果的には富士通をボロボロにしてしまったといいます。
 1998年から日本では急激に自殺者が増えました。いままで2万人台(多くて2万5千を越す)だったのが、1998年から一挙に3万人を越え、横ばいになったまま現在に至っています。02年8月に横浜市で開かれた第12回世界精神医学会(WPA)の推計によりますと、世界で日本が実質自殺率1位だといわれています。このことから1998年は自殺者が3万人台に定着した「自殺境界年」、また自殺理由の中で「経済・生活問題」が一気に上昇した「自殺理由境界年」といわれています。自殺者の70%は男性で、そのうち40〜50代だけで1万人を超えていますが、これは明確に日本社会の構造変化とかかわり、企業の成果主義の導入と陰に陽にかかわるものと思われます。
 2000年、東京都では人事考課制度がはじまりました。2003年、大阪府では評価・育成システムが導入されました。2006年には全国各地で教職員評価制度(試行を含めて)がはじまっています。その上、教育基本法の改定によって、法的にも国家による教育内容管理・教職員管理がますます強まるものと思われます。
| 教職員評価制度 | 20:38 | comments(0) | trackbacks(1) |
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